UX KANSAI

しまなみ突撃隊@UX KANSAI

昨年のUX KANSAIでは、瀬戸内しまなみ海道のビジネスをテーマに、全10回のセミナーを実施しました。
セミナーをきっかけにUX KANSAIメンバーがしまなみに興味をもってくれて、5月のUX概論の打ち上げで「いつか行きたい」が「6月に行こう!」になり、さらにその場で日程まで決まって、6/4-5で大三島まで来てくれました。

しまなみのサービスデザインをテーマにUXデザインを学んだ人の視点や体験は、普通の旅日記とは一味ちがう感じ。ぜひ読んでみてください。

※6/8追記
昨年の同じ時期に、UXデザインセミナー講師がお越しになったときの日記も合わせてどうぞ!(観察力の違いがすごい)
06月05日:ONOMICHI U2(尾道)
06月06日:しまなみ海道(前編:尾道~生口島)
06月06日:しまなみ海道(中編:大三島でバーベキュー)
06月07日:しまなみ海道(後編:大三島~今治)
06月07日:怪しい路地好き(広島県尾道)

計画のない旅

今回の旅のきっかけは先に書いたとおり打ち上げの飲みの席。

オオミシマスペースの改装について、UX KANSAIの参加者である工務店の社長にお話したところ、「しまなみにも行ってみたいし見に行きますよ!」とおっしゃってくださり、その場でスケジュール帳を開いて日程を決定。(ちなみみに6月は1日しか予定が空いてないほど超多忙スケジュール)

そして、同じテーブルで飲んでたメンバーに「行きましょう!」とお誘いくださり、みんなも「いいねいいね!」とノリノリに。

そうして、年齢も性別も職業も職種も自転車経験もバラバラな5人による「しまなみ突撃隊」が誕生。

尾道まで車で、尾道から大三島まで自転車で来てくれはりました。道中の写真みせてもらったけど、超楽しそうでちょっとジェラシーw

夜は我が家でBBQ。

ちょうど朝に破竹をいただいたので、丸焼きに。

我が家の定番のカルパッチョ。庭に生えてる無農薬レモンを大量に使える1品。このレモンと肉を野菜で巻いて食べるのもオススメ。

そして、1時過ぎまでおしゃべりしたにも関わらず、メンズ3人は朝5時半に起きて大三島一周へ!

さらに、メンズ3名は大三島から尾道まで自転車で帰ったので、2日間で120km以上のサイクリング。

まじすげー!かっけー!尊敬!

ちなみに女子組は車で向島のオシャレスポットめぐり。

立花食堂。雑誌でよくみてたけど、写真よりその場の空間がかなり素敵。植物がダイナミックで緑が生き生きしていて、建物はあまり手を入れすぎていない。特に、食堂のテラスの緑の屋根が素敵でした。何ていう植物なんだろう?

カカオとお砂糖だけでつくられたチョコレート。カカオが違うだけで、こんなに味が違うのか!と驚いた。パッケージも可愛いしちょっとお高めだけど3つも買ってしまった。
カフェスペースからの景色も素晴らしく、ホットチョコレートも美味しくて最高に癒された。

こんな素敵スポットに、なぜか一番若い大阪在住の女の子に案内してもらう私、、、勉強不足でごめんなさい。でも楽しかったし癒された!

そういえば、UXデザインセミナーの中でも「計画のない旅」の中でのハプニングや出会いを旅の価値にした案があったな。今回は、そんな素敵な旅に並走させてもらえて幸せでした。

オオミシマスペースでワークショップ(仮)

今回、大三島に遊びにきていただいた目的のひとつが、しまなみのサービスデザインを真剣に考えたT社長やメンバーに改装前のオオミシマスペースをみてもらうこと。

具体的な案をいただいたり、目の前の課題に追われて見逃していた価値を再発見させてもらえ、感謝カンゲキ。

その上、次は床貼りワークショップをしよう!という話までいただきました。

ということで、8月11〜13日あたりでワークショップが実現されるかも!?興味ある人は予定をあけておいてね!

シームレスな繋がりと共に

T社長のブログ記事より。

それはデザインとかおしゃれとかと言った浅はかなものではなく、その地域と共に生きると言うあり方を根元にしており、そこに触れる顧客体験をデザインに織り込んでいる様に感じました。

顧客や利用者を中心にデザインする前に、自分と場(地域や会社、家族など小さな社会)らしさは何かを捉えた上で、どうありたいかビジョンを据える。そのビジョンを一緒に叶えるユーザーは誰か?という順番が大事。地域ととも生きるからこそ、ひとつひとつは小さいけど、素敵な空間やサービスが生まれ、共鳴しているように感じます。

そして、場は人を媒体にシームレスに別の場と繋がっていて、オオミシマスペースは大三島に有るけど大阪や神戸にも在る。そういうイメージでデザインしていきたい。今回の旅の並走はそんな繋がりがサワサワと感じた気がします。今はまだ感覚的だけど。

サービスはユーザーファーストか? 〜Xデザインフォーラム in 京都〜

金曜日はUX KASNAIスタッフとして、Xデザインフォーラムのお手伝いへ。

「闘争」としてのサービス』著者の京都大学の山内先生と、『UXデザインの教科書』著者の千葉工業大学の安藤先生の講演。
山内先生がUX界隈で、そして安藤先生が関西でお話されると聞いて、超楽しみにしてたフォーラムです。

想像以上に刺激的で面白かった!
が、まとめられるほど理解できていないので、感じたことを垂れ流しに書いてみようと思う。

主客相互性

主客分離ではなく相互主観性のお話は、主体と客体が対峙する図を用いて、主体が客体に汲み取られていると説明いただいた。

相互主観性:主体が客体に絡み取られている

これを私の脳内イメージでは以下のような図になった。

脳内図

コミュニケーションが発生するたびに、主体と客体が混ざり合い、その場のサービスや体験が作られていく。

となると、客体はモノかヒトなど形あるもので、主客の間やその周辺にサービスや体験があるのかな…なんて妄想してたら次の話題に乗り遅れてしまった。

顧客を満足させようとすると、顧客は満足しなくなる

事例には鮨屋を、理論にはドイツ哲学者 F.ヘーゲルの「主人と奴隷の弁証法」をご紹介いただいた。

提供者が客に<笑顔を見せ、心配りし、喜ばせようとする>と、提供者が客に従属する関係となる。

するとサービスの価値が低下するというもの。

客という主体はサービスの結果であって、そのインプットではない。
客を満足させること(だけ)ではなく、客がどういうヒトになるのかが問題である。

つまりは、

サービスデザインとは、客が<ある主体になる課程>をデザインすることであり、(すでに十全な人間として措定された)客のニーズを満たしたり問題を解決することではない。

「ある主体」を、鮨屋でいうと「ベテラン客」、お茶会だと「主客」などの、ある理想像だとする。

ターゲットを設定し、ペルソナを作成したとて、そのペルソナの「ある主体」の設定がされていないのではないだろうか。
結果、提供者が客に従属する関係性であり、さほど価値が高くない(低い)サービスしかデザインできない状態に陥っているのかもしれない。

ビジョンが交わるところ

山内先生は、人間中心設計の全体は主観性(主客分離の関係性)であり、サービスデザインは人間・脱・中心設計(HdCD)であると述べられた。

その後、安藤先生はISO9241−210では目的思考的行動タイプが主でプロセス思考的行動や状態思考的行動があまり考慮されていないことや、”ポスト人間中心デザイン”論の誤解などをお話された。

山内先生と安藤先生のおふたりのお話を聞いて、私の脳内はまた迷走。

鮨屋は最高の鮨を提供するために最高の客を求める。客もベテランのような<ある主体>に憧れる。

一方で、UXDでは「誰を幸せにしたいのか」が前提。
前後には「自分が幸せになることは、誰に幸せにすることか?そして、それは社会の為になっているのか?」も含まれる。

提供者側のビジョンと客のビジョンが交わるところ。そこにサービスの価値がある。ということかな。

「闘争としてのサービス」と「利他的UX」

安藤先生が提唱する「利他的UX」とは、誰かを助けたくなるデザイン。
それは、主体が提供するのではなく客体が助けるデザインと解釈してみた。

とすると、「闘争としてのサービス」と「利他的UX」、主客の関係は近いのでは?と思ってたりもしたんだけど、どうなんだろう?
山内先生と安藤先生のパネルディスカッションがなくなったのは残念だったなぁ…

文化をデザインする

最後に衝撃だったやつ。

社会の限界点としての外部性を、社会の内部に節合していくこと

コレだけ聞くと「?」だけど、私の言葉では説明しきれないので資料から抜粋。

モノやサービスが審美化されていき、一度市場に流通すると陳腐なイメージに同質化される。

ふむふむ。モノやサービスをデザインしてもすぐコモデティ化しちゃうってことかな。

価値の源泉はもはや市場の外にしかない。

おお!市場飛び出しちゃった!

資本主義社会で成功することは、文化や芸術の世界で失敗すること。文化は常に社会の批判として機能してきた。

文化は社会の批判!その文化をデザインしろと。

パンチ力が強いけど、違和感はあまりない。
働き方、人生、教育、そしてサービスにも、様々な分野で画一的ではなく個々のマインドセットに合ったデザインが求められているのは感じていて、それは市場の中で戦っててはラチがあかない感じはする。
だから、会社に縛られることのない活動にも力が入るのかな。(会社も社会の一部なので逃げたくはないけど)

山内先生や安藤先生はもっと違うことをおっしゃってたかもしれませんが、、、私がその時に感じたことの垂れ流しになってしまってすみません。

久しぶりにちゃんと理解できてないくせに、ワクワクする感覚に陥りました。
まだまだ文章にならないモヤモヤが溢れてるけど、考察の続きや整理は人生の宿題にします。

このような貴重な機会をいただき、ありがとうございます!

 

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UX KANSAI 2017スタート

このブログは大三島に関することだけにしようと思ってたけど、もう混ぜちゃう。

13日(土)は大阪で活動しているUX KANSAI のセミナー2017年度の1回目

UX KANSAI は UXデザイン やサービスデザイン などをキーワードに、より良いもの・ことを作りたい人たちが集まり、その方法を学んでます。運営は十数人ボランティアでやっていて、全国に複数同様のコミュニティ「UX ◯◯」があるけど、運営人数が多いのが UX KANSAI の特徴かな。


UX KANSAIのこれから

昨年は私が代表としてやらせてもらってたけど、今期は若手がリーダー。継続的にボランティア活動的なコミュニティを続けるためには、常に変化し続けることが大事だと思っていて、その為にも私は高校や大学のサークルのように、リーダーやコアメンバーが世代交代し続ける仕組みにしたいと思っている。

その仕組みでまわすためには、コアメンバーは次の世代を育てないといけないし、OBは次のステップへ行かざる得ない。
その次のステップは、コミュニティを卒業して、各自のライフワークの中で実践し成果をあげていくことだと想像していた。けど、周囲の人生の先輩たちから「持続させるためにはちゃんとビジネスにしなはれ」とのご意見をいただく。

確かに、卒業して後は各自にお任せでは無責任。
そして、今のコミュニティの活動では学びのきっかけづくりはできても、その先がない。
地方ではUXデザインを実践できる場やチャンスがほとんどないことは課題意識としてある。

こういう課題に取り組むのって、ひとりじゃ難しいけど、幸いUX KANSAIには同じ価値観や課題意識をもった人たちが集まってる。ので、私たちが取り組むべきなんだろうなと思い、ちゃんとビジネスにする、コミュニティを法人化することに取組中です。

所属している会社とオオミシマスペースとUX KANSAI。
3つのわらじ。(厳密には細かいのがもうちょっとある)
3つもできるのかと不安になるけど、私にとっては3つでひとつのような気もする。

行雲流水。
いただいた縁や事をあるがままに受け入れて進んでみる。(って、いつも通り、、、)